血友病の遺伝子治療

患者数が遺伝性の出血性疾患である血友病の中で、最多であるA型血友病は、１つの母系を通じて遺伝する遺伝子の機能異常が原因だという。これは男性の約１万人に１人が発症する血液凝固タンパク質が欠乏する病気である。出血が止まらない場合は、凝固因子の注射で治療される。しかし患者の免疫系が注射された凝固因子に対して、反応を示す場合もあるという。正常に機能している遺伝子「ITGA2B」を、研究チームは無害のウイルスの中に組み込んだ。これによって血友病を患っている犬３匹に感染させて、正常遺伝子を血小板を作る幹細胞内に導入した。最高水準の量の第VIII因子がこの治療を施したイヌのうちの２匹では生成され、重度の出血は約２年半の調査期間を通して一回も見られなかった。 論文によると、３匹とも新しい遺伝子を導入された後は、自身の免疫系を抑制するための薬を必要としなかった。